親御さんの入院で医療費がふくらみ、家計のことが頭をよぎっているかもしれません。ここでお伝えしたいのは、高額療養費とは別に、知らないと受け取り損ねてしまうお金があるかもしれない、ということです。それが「付加給付」です。あわてず、ひとつずつ確かめていきましょう。

先に結論をお伝えします。付加給付(=健康保険組合が独自に上乗せする払い戻し)は、親御さんが「会社の健康保険組合」に入っている場合に受けられることがあります。協会けんぽや国民健康保険には、原則この上乗せはありません。そして、申請が要らず自動で振り込まれる組合と、自分から申請が必要な組合があります。

付加給付とは(できるだけやさしく)

医療費が高くなったとき、1か月(暦月)の窓口負担が一定の上限を超えた分があとから戻る「高額療養費制度」があります。付加給付は、この高額療養費に「さらに上乗せ」して、健康保険組合が独自に払い戻してくれる仕組みです。「一部負担還元金」「家族療養費付加金」などと呼ばれることもあります。

たとえば、高額療養費で戻ってきたあとの自己負担が、組合の決めた基準額を超えていれば、その超えた分がさらに戻ってくる、というイメージです。基準額や戻る割合は組合ごとに異なり、見直されることもあります。この記事では具体的な金額は書かず、加入している組合での確認をおすすめします。

※ ご案内について付加給付の基準額・計算方法・給付率は健康保険組合ごとに異なり、改定されることがあります。この記事は仕組みの考え方だけをお伝えするもので、金額を断定していません。ご自身の場合は、親御さんが加入している組合でご確認ください。

付加給付が「ある人」と「ない人」

付加給付は、どの健康保険に入っているかで、あるかないかが大きく変わります。まずは親御さんがどこに加入しているかを確かめるのが出発点です。

  • 会社の健康保険組合(大企業やグループ会社に多い) … 付加給付がある場合があります。ただし組合によって内容は異なり、付加給付を設けていない組合もあります。
  • 協会けんぽ(全国健康保険協会) … 原則として付加給付はありません(高額療養費は受けられます)。
  • 国民健康保険(自営業・退職後など) … 原則として付加給付はありません。
  • 後期高齢者医療制度(75歳以上) … 原則として付加給付はありません。

つまり、付加給付を確かめる価値が特に大きいのは、親御さんが「会社の健康保険組合」に入っている場合です。逆に、協会けんぽや国保の方は、原則この上乗せはないと考えておくと、期待して探し回らずにすみます。

自分の健保の調べ方(保険証から組合の公式サイトへ)

いちばん確実なのは、親御さんの保険証(マイナ保険証を含む)を見て、「保険者名」を確かめることです。そこに書かれている「◯◯健康保険組合」という名前が、付加給付があるかどうかを調べる手がかりになります。

  • ① 保険証の「保険者名称」を見る … 「◯◯健康保険組合」とあれば、組合の可能性が高いです。「全国健康保険協会」なら協会けんぽ、市区町村名なら国民健康保険です。
  • ② その組合名で公式サイトを探す … 「◯◯健康保険組合」で検索すると、多くの組合が公式サイトを持っています。
  • ③ 「付加給付」「一部負担還元金」のページを探す … 給付の案内に、基準額や受け取り方が書かれていることが多いです。
  • ④ 分からなければ組合に電話する … 保険証に記載の連絡先へ「付加給付はありますか」と一言たずねるのが、いちばん早いこともあります。

「そもそも組合か協会けんぽか分からない」というときは、まず保険証の保険者名を確かめるだけで大丈夫です。加入先さえ分かれば、あとは組合のページや一本の電話で確かめられます。

健康保険組合連合会(けんぽれん・組合健保の全国団体)高額療養費制度を利用される皆さまへ(高額療養費との位置づけ/厚生労働省)

申請が「要らない組合」と「要る組合」があります

付加給付の受け取り方は、組合によって二つに分かれます。

自動で振り込まれる組合

医療機関からの請求(レセプト)をもとに組合が計算し、申請しなくても自動で口座に振り込まれる組合があります。この場合は、こちらで特別な手続きは要りません。診療から振り込みまで数か月かかることが多いので、「まだ振り込まれない」と焦らなくて大丈夫です。

自分から申請が必要な組合

一方で、申請書の提出が必要な組合もあります。この場合、申請しないと受け取れないため、「知らないと消えてしまうお金」になりがちです。自分の組合がどちらの方式かは、組合の案内ページや電話で確かめておくと安心です。

※ ご案内についてこの記事は情報提供を目的としたもので、申請の代行を行うものではありません。受け取り方・申請の要否・期限は組合によって異なります。手続きはご本人・ご家族が、加入している健康保険組合を通じて進めてください。

全体像も、ひとつずつで大丈夫です

付加給付は、確かめておくと家計の助けになることがあるお金ですが、そのほかにも高額療養費・限度額適用認定証・仕事の休みなど、少しずつ確かめておくと安心なことがあります。すべてを今日やる必要はありません。時間軸ごとに整理した「急なそなえチェックリスト」で、今日・今週・今月に確かめることを順番に見ていけます。