親御さんがまだ現役で働いている最中に入院となると、「治療費だけでなく、給料が止まったら生活はどうなるのか」と心配になるかもしれません。ここでお伝えしたいのは、休んでいる間の生活を支える「傷病手当金」という制度があるかもしれない、ということです。落ち着いて、順番に見ていきましょう。
先に結論をお伝えします。傷病手当金(=病気やケガで働けず給与が受けられないときに支給される手当)は、親御さんが会社などに勤めて健康保険に入っている「現役の被保険者」の場合に受けられることがあります。自営業などで国民健康保険の方や、すでに退職された方は、原則として対象になりません。
傷病手当金とは
傷病手当金は、健康保険に加入して働いている人が、病気やケガで仕事を休み、その間の給与が受けられないときに、生活を支えるために支給される手当です。会社の健康保険組合や協会けんぽ(全国健康保険協会)などの公的医療保険から支給されます。「治療費の補助」ではなく、「働けない間の収入を一部おぎなうもの」という位置づけです。
対象になる人(現役の被保険者に限られます)
まず確かめておきたいのは、親御さんがそもそも対象になるかどうかです。おおまかには、次のような違いがあります。
- 会社などに勤め、健康保険(組合健保・協会けんぽなど)に入っている … 対象になる場合があります。
- 自営業などで国民健康保険に入っている … 原則として傷病手当金はありません。
- すでに退職している … 原則として対象外です(一定の条件で継続給付になる場合はありますが、加入先での確認が必要です)。
- 75歳以上(後期高齢者医療制度) … 原則として対象外です。
つまり、傷病手当金を確かめる価値が大きいのは、親御さんが「まだ会社勤めをしていて、健康保険に入っている」場合です。まずは、親御さんが在職中かどうか、どの健康保険に入っているかを確かめるところから始めると迷いません。
受け取るための主な条件(目安)
協会けんぽの案内では、傷病手当金を受けるためのおおまかな条件として、次のような点が挙げられています。組合健保でも、基本的な考え方は近いことが多いですが、細かい扱いは加入先で異なる場合があります。
- 業務外の病気やケガで療養していること(仕事中・通勤中のケガは労災の対象で別の扱いになります)
- 仕事に就くことができない状態であること
- 連続して休んだうえで、一定の日数以上働けなかったこと(休み始めの数日は待期として扱われるのが目安です)
- 休んでいる間、給与の支払いを受けていないこと(給与が出ていても手当より少なければ差額が支給される場合があります)
支給される金額は、休む前のお給料をもとに計算した日額のおよそ3分の2程度が目安とされ、支給される期間にも上限(通算での期間)があります。ただし、いずれも見直されることがあり、人によって条件も異なるため、実際の金額と期間は加入先の健康保険でご確認ください。
傷病手当金(全国健康保険協会・協会けんぽ)申請の流れ(おおまかに)
傷病手当金は、自動では支給されず、申請が必要です。おおまかには、次のような流れになります。
- まず親御さんの勤務先に、病気で休むことと、傷病手当金を申請したい意向を伝える
- 加入先(健康保険組合・協会けんぽなど)の申請書を用意する
- 申請書には、療養の状況について医師に記入してもらう欄や、勤務先に記入してもらう欄がある
- 記入がそろった申請書を、勤務先を通じて、または本人が加入先へ提出する
本人が入院中で動けない場合でも、ご家族が勤務先や加入先と連絡を取りながら進められることがあります。まずは勤務先に一報を入れ、「傷病手当金の手続きはどう進めればよいか」を確かめるところからで大丈夫です。
全体像も、ひとつずつで大丈夫です
傷病手当金は、親御さんが現役で働いている場合に、休んでいる間の生活を支えてくれることがある制度です。ほかにも、高額療養費や、介護のために家族が仕事を休むときの制度など、少しずつ確かめておくと安心なことがあります。すべてを今日やる必要はありません。時間軸ごとに整理した「急なそなえチェックリスト」で、今日・今週・今月に確かめることを順番に見ていけます。