親御さんの退院が近づいてきて、「家に帰ってからの生活、本当に大丈夫だろうか」と不安になっているかもしれません。その不安を、一人で抱え込む必要はありません。退院前カンファレンスは、まさにその不安を、病院のスタッフと一緒に整理するための場です。
先に結論をお伝えします。退院前カンファレンス(=退院後の暮らしを、病院のスタッフと本人・家族が一緒に相談する打ち合わせ)には、ご家族も参加できます。そして、この場は退院後を支えてくれるケアマネジャー(介護支援専門員)を選び、必要なサービスを決めていく起点になります。退院は終わりではなく、これからの暮らしを整える始まりです。
退院前カンファレンスとは
退院前カンファレンスは、退院が近づいたときに、病院側の関係者と、本人・家族が集まって、「退院後の生活をどう組み立てるか」を話し合う場です。医師や看護師、リハビリの担当者、退院後を支える予定のケアマネジャーなどが顔を合わせ、退院後に必要な支えを一緒に確認します。
入院中は病院が生活のすべてを支えてくれていますが、家に帰るとその環境が変わります。「食事は」「入浴は」「見守りは」「通院は」と、心配ごとは尽きないものです。カンファレンスは、そうした心配を一つずつ言葉にして、退院後の暮らしにつなげていくための場だと考えると分かりやすいです。
家族が参加すべき理由
「専門家が集まる場に、家族が出て役に立つのだろうか」と思うかもしれません。けれども、ご家族の参加には、家族にしかできない大切な役割があります。
- 家での暮らしを知っているのは家族 … 段差や階段、家族の生活時間など、退院後の現実を伝えられるのは家族です。
- 本人の希望や性格を代弁できる … 本人が言いづらいこと、大事にしていることを補えます。
- 「誰が何を担うか」をその場で確かめられる … 退院後、家族がどこまで支えられるかを、無理のない範囲で相談できます。
- 顔の見える関係をつくれる … 退院後に支えてくれる人たちと、あらかじめ顔つなぎができます。
もし当日どうしても参加できない場合は、電話での参加や、聞いておきたいことを事前に病院の相談窓口へ伝えておく方法もあります。「参加できないから諦める」のではなく、伝えられる形で関わっておくと安心です。
当日、聞いておきたいこと(チェック)
緊張していると、聞きたかったことを忘れてしまいがちです。次のような点を、あらかじめメモにしておくと、落ち着いて確かめられます。
- 退院後の生活で、特に気をつけることは何か
- 食事・入浴・移動など、家でどんな手伝いが必要になりそうか
- 通院や薬の管理は、どう進めればよいか
- 手すりの取り付けや福祉用具など、家の準備で要るものはあるか
- 介護保険のサービスは、いつから・どう使えるか(要介護認定の状況とあわせて)
- 容体が変わったとき、まずどこに連絡すればよいか
- 退院後に支えてくれるケアマネジャーは誰になるか、連絡先はどこか
ケアマネジャー選びとの関係
退院後に介護保険のサービスを使う場合、その計画(ケアプラン)を一緒に考えてくれるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。退院前カンファレンスは、このケアマネジャーと初めて顔を合わせ、退院後の支えを決めていく起点になることが多い場です。
まだケアマネジャーが決まっていない場合や、要介護認定をこれから申請する場合は、地域包括支援センターに相談すると、ケアマネジャー選びや退院後の段取りを一緒に整理してもらえます。相談は無料で、入院中からでも利用できます。「誰に相談すればいいか分からない」というときの、はじめの一歩の窓口です。
サービス利用までの流れ(ケアプラン・ケアマネの案内/厚生労働省)地域包括支援センター・地域包括ケアシステム(厚生労働省)全体像は、時間軸で整理できます
退院前カンファレンスは、これからの暮らしを整える大切な起点です。ほかにも、要介護認定の申請や、手すり・福祉用具といった住まいの準備など、退院に向けて少しずつ確かめておくと安心なことがあります。すべてを一度に抱えなくて大丈夫です。「急なそなえチェックリスト」で、今日・今週・今月・退院に向けての流れを、順番に見ていけます。