「介護に疲れた」「もう限界かもしれない」。そう検索する指も、きっと重かったと思います。まずお伝えしたいのは、疲れたと感じるのは、あなたが弱いからではないということです。誰かの暮らしを支え続けることは、それだけで大きな仕事です。疲れるのは、頑張っている証拠です。
この記事では、その疲れを少しでも軽くするために、二つのことをお伝えします。一つは、漠然とした「しんどさ」を4つの領域に分けて眺める見方。もう一つは、あなた自身が休むために使える相談先です。すべてを今日やる必要はありません。読むだけでも、少し肩の力が抜けるかもしれません。
疲れは、弱さではありません
介護をしていると、「もっと優しくできたはず」「イライラしてしまう自分がいやだ」と、自分を責めてしまうことがあります。でも、疲れやいらだちは、心がおかしいのではなく、負担が積み重なっているサインです。荷物が重ければ、腕が痛くなるのと同じことです。
大切なのは、その荷物の中身を「見えるようにする」ことです。何が、どれくらい重いのかが分かると、下ろせるものが見つかります。まずは、あなたが背負っているものを、いっしょに眺めてみましょう。
介護の負担は、4つの領域に分けて眺められます
「しんどい」とひとことで言っても、その中身はいくつかに分かれています。おおまかに、次の4つの領域に分けて眺めると、どこが重いのかが見えてきます。
① 物理的な負担(体・時間)
入浴やトイレの介助、夜中に何度も起きること、通院の付き添い、家事の増加。体を使い、睡眠や自分の時間が削られる負担です。「休めていない」と感じるなら、ここが重くなっているのかもしれません。
② 精神的な負担(気持ち)
先が見えない不安、うまくできない申し訳なさ、いらだちや孤独感。目に見えにくいぶん、自分でも気づきにくく、いちばん抱え込みやすい負担です。
③ 社会的な負担(仕事・人づきあい)
仕事との両立、友人と会えなくなること、自分の家庭や予定への影響。介護によって、これまでの暮らしのつながりが細くなっていく負担です。
④ 経済的な負担(お金)
介護にかかる費用、収入が減ることへの不安。お金の心配は、他の3つの負担すべてを重くします。ここには、使える制度で軽くできる部分もあります。
この4つは、どれか一つだけが重いこともあれば、いくつも重なっていることもあります。「自分はどこが重いのだろう」と眺めるだけでも、対処の糸口が見えてきます。
負担を「数字」で見てみる(無料・登録不要・3分)
頭の中だけで考えていると、しんどさは形がなく、どんどん大きく感じられます。そんなときは、負担を数字にして眺めてみると、少し落ち着いて向き合えることがあります。
いたわりナビの「介護負担スコア」は、いくつかの質問に答えるだけで、いまのあなたの負担がどの領域に、どれくらいかかっているかを見える形にする無料の診断です。登録は不要で、3分ほどで終わります。答えは誰にも送られませんし、点数が高くても低くても、それで良し悪しが決まるものではありません。あくまで「いまの自分を、いったん外から眺めてみる」ための道具です。
荷物を下ろす——介護者が「休む」ための選択肢
どこが重いか見えてきたら、次はそれを少し下ろす番です。介護は、一人で背負い続けるものではありません。あなた自身が休むための仕組みが、ちゃんと用意されています。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センター(=市区町村ごとにある高齢者のための総合相談窓口)は、介護をする家族の負担についても相談できる場所です。相談は無料で、「何をどう相談していいか分からない」という状態のままで、まず電話してかまいません。保健師や社会福祉士などが、話を整理する手伝いをしてくれます。
地域包括支援センター・地域包括ケアシステム(厚生労働省)レスパイト(介護者が休むためのサービス)を使う
ショートステイ(短期入所)やデイサービス(通所介護)は、介護される方のためのサービスであると同時に、介護する家族が休むために使ってよいものです。厚生労働省の案内でも、家族の身体的・精神的な負担の軽減が、ショートステイを利用する理由の一つとして挙げられています。「休みたい」と思うことに、うしろめたさを感じる必要はありません。使い方は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談できます。
短期入所生活介護(ショートステイ)/介護サービス情報公表システム(厚生労働省)あなた自身の受診も、選択肢のひとつです
眠れない日が続く、食べられない、涙が止まらない、気持ちが晴れる時間がない——そうしたつらさが続くときは、あなた自身が医療機関にかかることも、大切な選択肢です。介護のために自分の不調を後回しにする方はとても多いのですが、支える人が倒れてしまっては、いちばん困るのはあなた自身です。
かかりつけの医師や、お住まいの地域の相談窓口に「最近つらくて」と伝えるだけで大丈夫です。何科に行けばいいか分からないときも、地域包括支援センターやかかりつけ医が入口になってくれます。
まず、自分の負担を眺めることから
疲れているとき、正しい答えを探す気力はなかなか出ないものです。だからこそ、まずは「いまの自分の負担を眺める」ことから始めてみてください。無料の介護負担スコア診断(登録不要・3分)で、どこが重いのかを見える形にできます。
そして、これからやっておくと安心なこと——相談先や制度、退院後の準備などは、「急なそなえチェックリスト」で、今日・今週・今月と、時間軸ごとに順番に見ていけます。一度に全部を背負わなくて大丈夫です。ひとつずつで十分です。