「少しでいいから、介護を休みたい」。そう思ったとき、罪悪感を覚える方は少なくありません。でも、休みたいと思うことは、決してわがままではありません。介護する人が休むことは、介護を続けていくために必要なことです。そのための考え方が「レスパイトケア」です。

先に結論をお伝えします。レスパイトケアとは、介護する家族が一時的に介護から離れて休息をとることを指す言葉です。そして、その手段としてショートステイ(短期入所)やデイサービス(通所介護)があります。これらは「介護される人のため」だけでなく、「介護する家族が休むため」に使ってよいサービスです。

レスパイトケアとは(休息、という意味)

「レスパイト(respite)」は、英語で「休息」「ひと息つくこと」を意味する言葉です。介護の世界では、介護をする家族が心身を休めることや、そのための支えのことを、レスパイトケアと呼びます。

介護は、いつ終わるとも分からない長い道のりになることがあります。走り続けていれば、どんな人でも息が切れます。途中でひと息つくことは、さぼりではなく、長く続けるための工夫です。「休んでいる間に何かあったら」と心配になるからこそ、専門職に安心して任せられる仕組みが用意されています。

「介護する人が休むための利用」は、正当な使い方です

ショートステイやデイサービスを使うことに、「本人は家にいたいだろうに」「自分が楽をしているようで」とためらう方がいます。けれど、家族の負担を軽くするための利用は、制度が正面から想定している使い方です。

実際、厚生労働省の案内では、ショートステイ(短期入所生活介護)を利用する理由として、家族の疾病や冠婚葬祭、出張とならんで、「家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減」がはっきりと挙げられています。つまり、「疲れたから休む」ために使ってよいと、制度が認めているということです。

短期入所生活介護(ショートステイ)/介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

休むための主なサービス

ショートステイ(短期入所)

介護される方に、施設へ短期間だけ泊まってもらい、その間に入浴・食事・排せつなどの介護を受けられるサービスです。家族が旅行や冠婚葬祭で家を空けるときのほか、「少しまとまって休みたい」ときにも使えます。連続して利用できる日数には上限(連続30日まで)があるなどの決まりがあるため、使い方はケアマネジャーに相談しながら組み立てます。

デイサービス(通所介護)

日中、施設に通ってもらい、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けられるサービスです。介護される方が日中を施設で過ごすあいだ、家族はまとまった自分の時間を持てます。「泊まりは不安だけれど、日中だけなら」という方の入口にもなります。

このほかにも、自宅に来てもらう訪問系のサービスなど、暮らしを支える介護保険サービスはさまざまです。どれをどう組み合わせるかは、ケアマネジャーが作るケアプランで決めていきます。

介護保険で使えるサービスの種類(サービス編/厚生労働省)

要介護認定との関係

ショートステイやデイサービスを介護保険で使うには、原則として要介護認定(=介護保険のサービスを使うために必要な、状態の判定)を受けている必要があります。まだ認定を受けていない場合は、市区町村の窓口で申請するところから始まります。

認定には日数がかかることがあります。「休みたい」と思ったときにすぐ使えるよう、退院後にサービスを使う見込みがあるなら、早めに認定を申請しておくと安心です。認定のことも、地域包括支援センターで相談できます。

要介護認定(厚生労働省)

相談先(ケアマネ・地域包括支援センター)

「どのサービスを、どう使えばいいか分からない」——それが当たり前の出発点です。次の相談先が、休むための具体的な段取りを一緒に考えてくれます。

  • ケアマネジャー(介護支援専門員) … すでに担当がいる場合は、まずこの人に「少し休みたい」と伝えれば、サービスの手配を進めてくれます。
  • 地域包括支援センター … 担当のケアマネがまだいないときや、認定前の段階でも相談できる、市区町村ごとの無料の総合相談窓口です。
※ ご案内についてこの記事は情報提供・相談先のご案内を目的としたものです。利用できるサービスや費用、手続きの詳しい内容は、ケアマネジャーや市区町村・地域包括支援センターでご確認ください。特定の事業者への誘導を行うものではありません。
地域包括支援センター・地域包括ケアシステム(厚生労働省)

まず、自分の負担を眺めてみる

「休むほどではないかも」と思ってしまうときこそ、いちど立ち止まってみてください。無料の介護負担スコア診断(登録不要・3分)で、いまの負担がどれくらいかを数字で眺めると、休むきっかけがつかめることがあります。

そして、これから確かめておくと安心なこと——認定の申請や相談先、退院後の準備などは、「急なそなえチェックリスト」で、今日・今週・今月と時間軸ごとに順番に見ていけます。ひとつずつで大丈夫です。