在宅の介護でも、入院や施設での暮らしでも、おむつ代は毎日のことだからこそ、月々の家計にじわじわと効いてきます。「これだけで、けっこうな出費になるな」と感じて、この記事を開かれたのかもしれません。まずお伝えしたいのは、あとから負担がやわらぐ仕組みがいくつかあり、あわてて今日ぜんぶ手続きする必要はない、ということです。

この記事では、大きく三つのことをお伝えします。ひとつは、住んでいる市区町村が行っている「おむつ助成」。ひとつは、一定の条件を満たしたときに、おむつ代が医療費控除の対象になる場合があること。そしてもうひとつは、介護保険サービスの自己負担や施設費用の一部も、医療費控除の対象になりうることです。いずれも要件は制度や自治体によって異なるので、この記事では「対象になる場合がある」という言い方にとどめ、最後の確かめ先までご案内します。

まず、自治体の「おむつ助成」があります

多くの市区町村では、在宅で介護を受けている高齢者などを対象に、おむつにかかる費用の一部を助けるしくみを設けています。呼び方は「おむつ支給」「紙おむつの支給」「おむつ購入費の助成」などさまざまで、内容も自治体ごとに違います。おおまかには、次のようないくつかの型があります。

  • 現物支給——決められた枚数・品目のおむつを、定期的に届けてもらえる型
  • 購入費の助成——自分で買ったおむつの代金の一部が、あとから戻る(または券が支給される)型
  • 対象を要介護度などで区切る型——要介護◯以上、住民税非課税など、条件を設けている場合

対象になる方の条件(要介護度・所得・在宅かどうかなど)や、助成の上限額、申請に必要な書類は、自治体ごとにかなり幅があります。ご自身の市区町村がどの型をとっているかは、役所の高齢福祉の窓口や、地域包括支援センターにたずねるのが確実です。

どこに相談すればよいか分からないときは、まず身近な総合相談窓口である地域包括支援センターを探すから、お住まいの地域の窓口を確認して、おむつ助成の有無や申請のしかたをたずねてみてください。

※ ご案内についておむつ助成は、すべての自治体にあるわけではなく、要件も金額も一律ではありません。「隣の市ではこうだった」がそのまま当てはまるとはかぎらないので、必ずお住まいの市区町村の案内でご確認ください。

一定の条件を満たすと、おむつ代が医療費控除の対象になる場合があります

おむつ代は、ふだんは医療費控除の対象になりません。ただし、傷病によっておおむね6か月以上寝たきりの状態にあり、医師の治療を受けている方について、おむつを使う必要があると認められる場合には、そのおむつ代が医療費控除の対象になることがあります。この「対象になるかどうか」は、あくまで条件を満たすかどうかで決まります。

このとき必要になるのが、医師が発行する「おむつ使用証明書」です。これは、おむつが治療のうえで必要だということを示す書類で、確定申告の際に医療費控除の明細書とあわせて用意します。まずはかかりつけの医師に、この証明書を書いてもらえるか相談するところからで大丈夫です。

なお、2年目以降も続けて控除を受ける場合には、市区町村が交付する確認書など、一定の書類を「おむつ使用証明書」に代えられる取扱いが設けられています。毎年かならず医師の証明書が要る、というわけではない場合があります。詳しい要件は年によって見直されることもあるため、その年の申告のしかたは国税庁の案内や税務署でお確かめください。

寝たきりの者のおむつ代(医療費控除/国税庁 質疑応答事例)
※ ご案内についてここでの金額や要件は目安です。控除の対象になるか、いくら戻るかは、その方の状況や所得によって変わります。断定はできませんので、判断に迷うときは税務署や税理士など、税の相談先にご確認ください。

介護費用の一部も、医療費控除の対象になりうる

見落とされがちなのですが、おむつ代だけでなく、介護保険サービスの自己負担額や、施設で暮らすときの費用の一部も、医療費控除の対象になる場合があります。医療費控除は「病院の窓口で払ったお金」だけの話ではありません。

たとえば、特別養護老人ホームなどの施設サービスでは、介護費・食費・居住費として支払った自己負担額の一定割合が、医療費控除の対象として扱われることがあります。どこまでが対象になるかは施設の種類によって異なり、日常生活費や特別なサービスの費用は対象外とされています。多くの場合、対象になる金額は施設が発行する領収書に記載されるので、まずは手元の領収書を確認してみてください。

在宅で受ける介護保険サービスについても、医療系のサービスなど一定のものは自己負担額が対象になり、対象額は領収書に示されることが一般的です。おむつ代・介護サービス費・医療費を年間で合わせると、思っていたより控除の対象額が積み上がっていることもあります。一年分の領収書を、捨てずにまとめておくと安心です。

No.1125 医療費控除の対象となる介護保険サービスの施設サービス(国税庁)No.1122 医療費控除の対象となる医療費(国税庁)

負担をやわらげる、進め方の目安

仕組みはいくつもありますが、いっぺんに動く必要はありません。おおまかには、次のような順番で無理なく進められます。

  • まず、お住まいの市区町村におむつ助成があるかを、役所の高齢福祉窓口や地域包括支援センターにたずねる
  • おおむね6か月以上寝たきりなどの状況にあるなら、かかりつけ医に「おむつ使用証明書」を書いてもらえるか相談する
  • おむつ代・介護サービス費・医療費の領収書は、一年分をまとめて保管しておく
  • 確定申告の時期に、医療費控除の対象になるかを税務署や税の相談先で確かめる

在宅の介護にどれくらいのお金がかかるのか、全体像を落ち着いて見たいときは、在宅介護の費用の目安もあわせてご覧ください。

「親が倒れたその日から」何をそろえ、どこに確認すればよいかを段取りにした介護のそなえチェックリストにも、こうした申請や書類の整理の手がかりをまとめています。

書類や制度に、疲れてしまう前に

助成や控除は、知っていれば負担がやわらぐ一方で、要件を調べ、書類をそろえる手間がついてまわります。介護そのもので手いっぱいのなかで、税や制度の細かい話まで一人で抱えるのは、けっして楽ではありません。「これは対象になるのだろうか」と迷ったときは、遠慮なく地域包括支援センターや税務署の窓口に頼ってかまいません。

※ ご案内についてこの記事は、おむつ助成や医療費控除の一般的なしくみをお伝えするもので、個別の申請の可否や控除額を判定するものではありません。おむつ助成の要件は自治体ごとに、医療費控除の要件はその年の取扱いによって異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村・税務署・かかりつけの医師にご確認ください。