親御さんの介護が始まると、「掃除がしきれていない」「買い物に行くのがつらそう」「ひとりの時間が長くて心配」——そんな日々の困りごとが少しずつ見えてきます。介護保険のサービス(訪問介護など)はとても心強いものですが、その枠だけでは支えきれない生活の場面もあります。この記事では、そうした困りごとを支える、介護保険の外にもある生活支援のサービスを、種類ごとにやさしく眺めてみます。

先にお伝えしておきたいことがあります。ここで挙げるサービスは、住んでいる市区町村によって、使えるもの・使えないものや、費用のしくみが大きく変わります。ですので、この記事は「こういう支え方がある」という地図として読んでいただき、最後は地域包括支援センターやケアマネジャーに相談して、お住まいで使えるものを一緒に整理してもらうのがいちばんの近道です。

なぜ介護保険だけでは足りない場面があるのか

介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)では、本人の身体に関わる介助(入浴・排せつ・食事など)や、本人のための調理・掃除・洗濯といった生活援助を受けられます。ただし、これは「本人が日常生活を送るために必要な範囲」に限られるという考え方があり、たとえば同居する家族の分の家事や、日常的な範囲を超えた大掃除、庭の手入れなどは、原則として対象になりにくいとされています。

また、「見守ってほしい」「買い物に付き添ってほしい」「ゴミ出しだけ手伝ってほしい」といった、暮らしのすき間の困りごとは、介護保険のサービスの枠には収まりきらないことがあります。こうした部分を支えるために、介護保険の外側にもいくつかの生活支援のしくみが用意されています。

生活支援サービスの種類

ここからは、暮らしを支えるサービスを種類ごとに見ていきます。費用は「目安」としてご覧ください。自治体が行うものは無料や低額のことがあり、民間のサービスは内容に応じてさまざまです。何が使えるかはお住まいで異なります。

配食サービス(栄養と安否確認を兼ねる)

栄養バランスに配慮した食事を、自宅まで届けてもらえるサービスです。買い物や調理が難しくなってきた方の食事を支えるだけでなく、届けるときに顔を合わせることで、そっと安否を確かめる役割を兼ねているものもあります。手渡しでの配達を基本とし、応答がないときは家族や関係先に連絡する、というしくみを持つものもあります。

費用は一食あたり数百円ほどが目安ですが、自治体が費用の一部を補助している場合と、民間の宅配を利用する場合とで幅があります。お住まいの市区町村に高齢者向けの配食の助成があるかどうかは、窓口や地域包括支援センターで確かめられます。

見守り・安否確認サービス

離れて暮らす親御さんの「無事」を確かめる支えです。型はいくつかあり、目的や本人の負担に合わせて選べます。

  • センサー型 … 室内の動きや、電気ポット・ドアの使用などをそっと検知し、いつもと違う様子があれば知らせる。
  • 訪問型 … 決まった間隔で人が訪ね、様子を確かめて声をかける。
  • 電話・通報型 … 定期的な電話や、緊急時にボタンで通報できる装置を使う。

自治体が行う「高齢者の見守り」や、緊急通報装置の貸し出しといったしくみがある地域もあります。民間の見守りサービスは、装置の有無や連絡体制によって費用が変わります。まずは、お住まいでどんな見守りが用意されているかを確かめるところから始めると迷いません。

買い物代行・移動販売

外出が難しくなってきた方のために、日用品や食料品の買い物を代わりに行ったり、自宅の近くまで商品を届けたりする支えです。注文した品物を届けてもらう宅配のかたちや、決まった曜日に近所まで車で来てくれる移動販売など、地域によってさまざまな形があります。

費用は、商品代のほかに配達の手数料がかかることが一般的です。自治体や地域の助け合いのしくみとして、買い物の付き添いや代行を行っているところもあります。

ゴミ出し支援

決められた場所までゴミを運ぶことが難しい方に向けて、玄関先まで収集に来てくれるしくみを設けている自治体があります。「ふれあい収集」などと呼ばれることがあり、収集のときに声をかけて安否を確かめることを兼ねている場合もあります。

対象になる方の条件(要介護度やひとり暮らしかどうかなど)や申し込みの方法は市区町村で異なります。利用できるかどうかは、お住まいの自治体の窓口で確かめられます。

外出・移送サービス

通院や外出のために、車での移動を支えるサービスです。車いすのまま乗れる車を使うものや、乗り降りの介助を含むものなどがあります。

  • 福祉有償運送 … 自家用車では移動が難しい方のために、登録した団体などが行う送迎のしくみ。
  • 介護タクシー(福祉タクシー) … 車いす対応の車や、乗降の介助を伴う移動を担うもの。

費用は距離や介助の内容によって変わります。介護保険の訪問介護のなかで通院などの移動を支える形(いわゆる通院等の乗降介助)が使える場合もあり、どのしくみが合うかは状況によって分かれます。ケアマネジャーに相談すると、通院の予定に合わせて整理してもらえます。

家事援助(掃除・洗濯など・介護保険の外の部分)

介護保険の生活援助では対象になりにくい部分——たとえば日常の範囲を超えた片づけや大掃除、家族の分の家事など——を支えるサービスです。自治体や地域の助け合いのしくみとして低額で行われているものと、民間の家事のサポートを利用する形とがあります。

※ ご案内についてここで挙げた費用はいずれも目安です。自治体の補助や助け合いのしくみがあるか、民間で利用する場合にどれくらいかかるかは、お住まいの市区町村や地域包括支援センターで確かめられます。

これらのサービスの「入口」は大きく3つ

ここまで見てきた生活支援のサービスは、どこが行っているかによって、おおまかに3つの入口に分けて眺めると整理しやすくなります。

  • ① 介護保険の総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業) … 市区町村が主体となって行う、介護予防や生活支援のしくみ。配食・見守り・家事の手助けなどが含まれることがある。
  • ② 自治体の独自サービス … 市区町村が独自に設けている、ゴミ出し支援・緊急通報・配食の助成などのしくみ。
  • ③ 民間のサービス … 事業者が行う配食・見守り・買い物・家事などのサービス。

①の総合事業は、要支援の認定を受けている方や、市区町村のチェックで対象になった方が使えるしくみで、内容は市区町村ごとに設計されています。②③は、要介護認定の有無にかかわらず使えるものもあります。何が使えるかは、お住まいの市区町村によって本当にさまざまです。

介護予防・日常生活支援総合事業を含む「介護予防」(厚生労働省)

そして、これら3つの入口をまたいで「わが家では何が使えるのか」を一緒に整理してくれるのが、地域包括支援センターとケアマネジャーです。ひとつずつ調べて回らなくても、まずここに相談すれば、お住まいで使える支えを見わたしてもらえます。

まずは地域包括支援センターかケアマネに相談を

生活支援のサービスは種類も入口も多く、ひとりですべてを調べようとすると、かえって疲れてしまいます。「掃除・買い物・食事・見守りのうち、いま何にいちばん困っているか」を思い浮かべながら、その困りごとを相談先に伝えるところから始めれば十分です。

  • 地域包括支援センター … 高齢の方とご家族の総合相談窓口です。お住まいで使える生活支援や介護のしくみを、まとめて案内してもらえます。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員) … 担当がいる場合は、ケアプランのなかで生活支援まで含めて相談できます。
  • 市区町村の高齢福祉の窓口 … 配食の助成やゴミ出し支援など、自治体独自のしくみの申し込み先です。

お住まいの地域包括支援センターがどこにあるかは、お住まいの相談窓口を探すページから確かめられます。困りごとを一度そこに預けてみてください。

介護保険で使える在宅サービスの全体像もあわせて知りたい方は、在宅サービスの入口の診断もご覧いただけます。

地域包括支援センター・地域包括ケアシステム(厚生労働省)介護保険で使えるサービスの種類(サービス編/厚生労働省)
※ ご案内についてこの記事は情報提供・相談先のご案内を目的としたもので、特定の事業者への誘導や手続きの代行を行うものではありません。利用できるサービスの種類・条件・費用は、お住まいの市区町村や地域包括支援センター、ケアマネジャー、および上記の公式ページでご確認ください。